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2009/02/10 (Tue) エクソフォニー 母語の外へ出る旅(多和田葉子)

英語圏出身ではない作家が英語で書いている小説を何冊か紹介したが、多和田葉子は日本人でありながらドイツ語でも小説を書いている。
下記の感想で引用した部分の一部「日本語でものを書いている限り、タブーに触れないようにする機能が自動的に働いてしまう。それが、他の言語を使っていると、タブー排斥機能が働かなくなって、普段は考えてもみなかったはずのことを大胆に表現してしまったり、忘れていた幼年時代の記憶が急に蘇ってきたりもする」という指摘は実に興味深い。紹介してきたジュンパ・ラヒリ、ラッタウット・ラープチャルーンサップ、イーユン・リー、楊逸、C・N・アディーチェらにも執筆時に同様のことが起きていたのかもしれない。そんなことを考えながら読んでみるのも一興だろう。

以下は読んだ時の感想。



『翻訳家の仕事』を読んで興味を持った多和田葉子の本を図書館で借りてみた。「エクソフォニー」とはドイツ語で母語の外に出た状態一般を指す言葉らしい。多和田葉子は日本語とドイツ語で小説を書き、講演やら何やらで世界中を飛び回っている。

本書は二部構成になっており、第一部「母語の外へ出る旅」は書き下ろしで、世界各地で感じたことをエッセイにまとめている。第二部は「実践編 ドイツ語の冒険」で、『テレビ ドイツ語会話』に連載されたものが元になっている。

最初はちょっと取っつきにくくて、どうせ図書館で借りた本だし、斜めに読んでおけばいいかなんて思ったのだが、斜めに読んでいるうちにハマってしまった。そもそも母語以外の言語で小説等を書いている人の話なんてあまり読んだことがないからな(他にはリービ英雄くらいか)。言葉に対する独特の視点が垣間見られて非常に刺激的だった。

第二部はドイツ語が分かる人やドイツ語を勉強している人の方が読んでいて面白いだろうけど、そうではない私にとっても十分に興味深かった。「言葉を綴る」という回のなかで、アメリカの大学でドイツ語を学んでいる学生たちにドイツ語で作文する課題を出したときに、むしろ母語では恥ずかしくて書けなかったようなことが外国語では書けるようになる学生がいたという。

外国語を学ぶということは、新しい自分を作ること、未知の自分を発見することでもある。わたしたちは日本語を通して世の中の仕組みを学び、人との付き合い方を学び、大人になってきたわけだから、こういうことは考えてはいけないとか口にしてはいけないというタブーが頭の中に日本語と一緒にプログラミングされている。つまり、日本語でものを書いている限り、タブーに触れないようにする機能が自動的に働いてしまう。それが、他の言語を使っていると、タブー排斥機能が働かなくなって、普段は考えてもみなかったはずのことを大胆に表現してしまったり、忘れていた幼年時代の記憶が急に蘇ってきたりもする。



多和田葉子」という名前が本名なのかペンネームなのかは知らないが、「ことの葉が多い子」という名前は日本語とドイツ語を操る著者にはピッタリの名前だな。



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