翻訳にまつわるアレコレ//翻訳にまつわる雑多な情報など・・
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2014/10/22 (Wed) 遁走状態(ブライアン・エヴンソン著 柴田元幸訳)

幻想と覚醒が織りなす、19の悪夢。驚異の短篇集、待望の邦訳刊行! 前妻と前々妻に追われる元夫。見えない箱に眠りを奪われる女。勝手に喋る舌を止められない老教授。ニセの救世主。「私」は気づけばもう「私」でなく、日常は彼方に遁走する。奇想天外なのにどこまでも醒め、滑稽でいながら切実な恐怖に満ちた、19の物語。ホラーもファンタジーも純文学も超える驚異の短篇集、待望の邦訳刊行!



雑誌「MONKEY」に掲載された 「ザ・パニッシュ」 という短編が面白かったので、この本も読んでみた。現実と幻想の境目が溶け出すような不穏な話が多い。ついて行けない話もいくつかあったが、概ね興味深く読んだ。基本的にラストも救いがないところが逆にいいんだよな。ジャンル分け不能の独特の世界観だな。
英米文学好きの人なら押さえておいてもいいと思うよ。

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2014/02/18 (Tue) 守備の極意(上・下)(チャド・ハーバック著、土屋政雄訳)

ウェスティッシュ大学野球部の捕手マイク・シュウォーツは、痩せっぽちの高校生ヘンリーの守備練習に見とれていた。ますます強くなるコーチのノックを、この小柄な遊撃手は優美なグラブさばきで楽々と捕え、矢のような球を次々と一塁に送る。その一連の動きはまさに芸術品だった。「来年はどこの大学でプレーするんだ」と聞いた。「大学へは行かない」シュウォーツはにやりとした。「さて、そうかな」シュウォーツはようやく見つけたのだ。みずからの弱小チーム立て直しの切り札を―アメリカ文学界の新星が贈る、野球への愛にあふれる傑作小説。



本屋で立ち読みして面白そうだなと思い図書館で借りた。この本は当たりだったね。実に面白かった。野球小説であり、青春小説であり、家族小説でもある。

主人公のヘンリーを始めとして、ヘンリーの寮のルームメイトであるオーエン、ヘンリーを見出した上級生のマイク、大学の学長のアフェンライト、アフェンライトの娘のペラ、などなど、実に人物がよく描けている。本筋に関係のない細かいエピソードも印象に残るし、ユーモラスな描写も上手い。

それから、オーエンというルームメイトと野球ということで、どうしたってジョン・アーヴィングの『オウエンのために祈りを』も想起させる(似たようなエピソードもある)。もちろん著者も意識してるだろうな。
この本は日本ではあまり話題になっていないけど、もっと話題になってもいいんじゃないかな。

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2013/11/28 (Thu) SONGS FOR THE PHILIPPINES

ユニバーサル ミュージック グループ (Universal Music Group、本社:米国/以下、UMG)はソニー・ミュージックグループ、ワーナーミュージック・グループのレコード会社3社と共同で2013年11月にフィリピンを襲った大型台風30号(ハイエン)に被災された方々への支援のため、所属アーティストによる楽曲39曲が収録された配信限定アルバム 『SONGS FOR THE PHILIPPINES』 を 11月25日(月)よりiTunes Store を通じ世界同時に発売いたしました。
本アルバムは、洋楽のコンピレーション・アルバムとしてザ・ビートルズやボブ・ディランを始め、レコード会社の枠を超えトップアーティストによる思いやりと希望をテーマにした楽曲が収録されています。
2011年に東日本大震災の被災者支援を目的に発売された『SONGS FOR JAPAN』 は、発売後1か月で500万USドルを売り上げ、日本赤十字社へ寄付されました。
本作品の売上についても義援金としてフィリピン赤十字社に直接寄付され、被災者支援や被災地の復興支援などに充てられる予定です。

■収録楽曲
1. The Beatles - "Across The Universe"
2. Bob Dylan - "Shelter From The Storm"
3. Michael Buble - "Have I Told You Lately That I Love You"
4. U2 - "In A Little While"
5. Bruno Mars - "Count On Me"
6. Beyonce - "I Was Here"
7. Eminem - "Stan" (Live from BBC Radio 1)
8. Cher - "Sirens"
9. Adele - "Make You Feel My Love"
10. Katy Perry - "Unconditionally" (Johnson Somerset Remix)
11. One Direction - "Best Song Ever"
12. Fun. - "Carry On"
13. Lady Gaga - "Born This Way" (The Country Road version)
14. Justin Timberlake - "Mirrors"
15. Justin Bieber - "I Would"
16. Alicia Keys - "New Day"
17. Imagine Dragons - "30 Lives"
18. Madonna - "Like A Prayer"
19. P!nk - "Sober"
20. Kylie Minogue - "I Believe In You"
21. Enrique Iglesias - "Hero"
22. Red Hot Chili Peppers - "Factory Of Faith"
23. Linkin Park - "Roads Untraveled"
24. Kings Of Leon - "Use Somebody"
25. Muse - "Explorers"
26. Lorde - "The Love Club"
27. Josh Groban - "Brave"
28. Kelly Clarkson - "Stronger"
29. Paolo Nutini - "Simple Things"
30. Ellie Goulding - "I Know You Care"
31. James Blunt - "Carry You Home"
32. Pitbull feat. Christina Aguilera - "Feel This Moment"
33. Earth, Wind & Fire - "Sign On"
34. Apl.De.App - "Going Out" feat Damian Leroy
35. Sara Bareilles - "Brave"
36. Jessica Sanchez - "Lead Me Home"
37. Lily Allen - "Smile"
38. The Fray - "Love Don't Die"
39. The Beatles - "Let It Be"



チャリティーにもなるし、これだけ入っていて1,500円はお得だ。個人的には「The Fray」の新曲が入っているのが嬉しかったね。

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2013/06/25 (Tue) 字幕屋のニホンゴ渡世奮闘記(太田直子)

世界一の高品質と言われる日本の映画字幕。その製作をめぐる職人的極意から、憂慮すべきニホンゴ問題まで一刀両断、気鋭の字幕翻訳家によるエッセイです。銀幕の裏で呻吟する字幕屋にも、字数制限さえなければ広い渡世があるものを。日々発展の技術のもと、刻々改定の日本語に喘ぎ、されど時代と言葉の伴走者、字幕文化の灯は消すまじ。



私も翻訳業界の片隅に生きているのだが、字幕翻訳のことはよく知らなかった。翻訳する前に「ハコ書き」という作業があるんだね。要するに、表示させる字幕ごとにセリフを切っていく作業なのだが、これの良し悪しがその後の翻訳を左右するという。まあ、そうだろうね。
あとは、字数制限の話も多かった。これは大変なのは想像がつくし、大変なだけに色々な工夫もあって面白かった。
広い意味では同じ業界なので、悩みや嘆きは結構共通なんだなとも感じたね。


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2013/04/22 (Mon) 色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年(村上春樹)

他の作品に比べてそれほど長い訳ではないのだが、今までの村上作品のエッセンスがかなり詰まった内容となっている。
独特の比喩にも磨きがかかっていて、昔のようなエキセントリックな比喩ではなく、すっきりと洗練された、それでいて手帳に書き留めておきたくなるような魅力を備えている。
内容にはあえて触れないが、北欧の長くて厳しい冬にも必ず春が訪れる、人生もまた然り、読後にはそんな印象を持った。

本作には「Colorless Tsukuru Tazaki and His Years of Pilgrimage」という英題も最初から付いていた。国際作家の村上春樹らしいね。

色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年
色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年村上 春樹

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2013/03/07 (Thu) ぼくは覚えている(ジョー・ブレイナード)

「ぼくは覚えている」というフレーズで始まる短い回想、1950年代アメリカ大衆文化の記憶、詩的で鮮烈なイメージが横溢する。美術家としても名高い異才の傑作メモワール。


恵文社一乗寺店・店長のブログで知った本。「私がこれまでに読んだすべての作品のなかでも、滅多にお目にかかることのない〈完全にオリジナルと呼べる作品〉の一つである。」とポール・オースターが絶賛し、復刻版が発行されることになったらしい。
ほぼ全てが「ぼくは覚えている(I remember)」というフレーズで始まる文章でできている。

ぼくは覚えている。「ありがとう」と言われて「ありがとう」と返したら、相手が言葉に詰まったことを。
ぼくは覚えている。ぎゅっと目をつぶると、いろんな色や模様が見えたことを。
ぼくは覚えている。学校の机に彫られた落書きと、それをボールペンでぐりぐりとなぞったことを。


著者はゲイだったらしく、その手の話も結構出てくる。アメリカの1950年代の固有名詞もかなり出てくるのだが、巻末に注も付いているので参考になる。
「ぼくは覚えている」というフレーズはなんか癖になるね。自分でもやりたくなるんだよな。まあ、やめておくけど。
最初だから当然頭から読んでいったけど、あとがきにもあるように「通勤通学の合間や「トイレのおとも」として、適当にぱっと開いたページに目を通して、何かしら共感したり、笑ったり、はっと胸を突かれたり、といった気ままな味わい方をするのもいいかもしれない」。図書館で借りた本なので、返却期限までしかその楽しみはないけれど。

ぼくは覚えている (エクス・リブリス)
ぼくは覚えている (エクス・リブリス)ジョー ブレイナード 小林 久美子

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2013/02/27 (Wed) 岡田利規 × Pig Iron Theatre Company 『ZERO COST HOUSE』

岡田利規の「自伝」が演劇に!?
初の海外カンパニーとのコラボレーション作品がTPAMディレクションPlus参加作品として、日本初上陸します。
2010年3月、岡田利規の作品「エンジョイ」を、革新的な舞台作品で高い評価を得るアメリカのパフォーマンス集団・Pig Iron Theatre Companyの演出家、ダン・ローセンバーグが演出し、現地で高い評価を得ました。これをきっかけに、今回の国際共同製作の実現にいたりました。
森での暮らしや自然の素晴らしさを新鮮な感覚で綴った19世紀アメリカの作家ヘンリー・デイビッド・ソローと、「建てない建築家」として現在注目を集める坂口恭平氏の思想をモチーフに、震災を経て変化した岡田自身の視線を通して「生活のあり方」を自伝仕立てで問いかける意欲作です。岡田利規の新たな挑戦にご期待ください。
*本作品の日本語版テキストが、「群像」2013年2月号(1月7日発売)にて全文掲載されております!観劇前に、観劇後に、是非ご一読ください。

演出:ダン・ローセンバーグ
脚本:岡田利規
翻訳:アヤ・オガワ
出演:メアリー・マックール、アイーシャ・ヌガウジャ、ジェイムズ・サッグ、アレックス・トーラ、ディト・ヴァン・ライガーズバーグ  

会場:KAAT神奈川芸術劇場 〈大スタジオ〉


少し前の話になるが、こんな芝居を観に行った。
まず、「Pig Iron Theatre Company」の俳優たちの演技が上手いことに驚いた。驚いたなんて言ったら失礼なんだろうけど、でもやっぱり驚いた。自然で、かつ、ちょっと「チェルフィッチュ」っぽくもあった。
日本語で書いた脚本を英訳して、外国人が演じるという捻った構造になっている。どうみても外国人の俳優が「I'm Toshiki Okada.」と自己紹介するのは、それだけで笑える。
自伝ということもあり、震災後の自分の考え方という点でも、日本語でストレートに表現しにくいので英訳して外国の俳優たちが演じるという形態を取ったのだろう。その捻り構造がこの芝居に新たな魅力を付け加えていたのだと思う。示唆に富んだ実に興味深い芝居だった。普通のチェルフィッチュの芝居よりも面白かったな。
英語での上演ということで、両サイドに日本語字幕が出る。最初は字幕見ないで観てやろうかと思ったのだが、さすがに無理だったので、途中から素直に字幕を見た。ただ、字幕だと俳優がセリフを言う前にこれから言うことが出ちゃうので、面白いセリフだと先に笑っちゃう人がいるんだよな。仕方がないんだけど、これにはやはり違和感がある。

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2013/01/15 (Tue) JATセミナー:グローバル化からグローカル化へ~多言語翻訳の現状と今後の動向

2013年最初のTAC月例セミナーでは、日本語、英語、そしてさらにもう1つの言語(スペイン語、ドイツ語、中国語)の間での翻訳を行なっている3人の翻訳者をパネリストとして迎え、英語以外の言語の翻訳がおかれている現状について意見を交換し、さらには今後の活路について議論していきます。

パネリスト:
 姫野幸司(日・英・西)
 楠カトリン(独・日・英)
 孫璐(中・日・英)
司会進行:
 丸岡英明(日・中・英)



今まで、JTFのセミナーは何度か出たことがあるが、JATのセミナーに参加するのは初めて。パネリストの一人がお付き合いのある方だったので、土曜日に渋谷まで出掛けてきた。
前半は、司会の方からの3人の紹介と、3人それぞれPowerPointを使用しての簡単なプレゼンテーション。日本語、英語の他にもう1つの言語もやっているとリスクヘッジになるという話があったり、他言語の翻訳をする際には、やはり英語もできた方が資料を調べたりするのに便利であるというような話があった。
休憩を挟んでの後半は質疑応答。ただ、質疑応答と言っても、発言者が質問ではなくて、自説を滔々と述べてしまうことが多く、質疑応答の場ではなく、参加者の自説開陳の場になってしまった。まあ、それでもいいのかもしれないが。
孫さんや楠さんは翻訳だけではなく通訳の仕事もしており、どちらか一方だけよりも両方やったほうがお互いを補完できてメリットが大きいと話していた。
なかなかアットホームなセミナーだったので、今後も機会があれば参加してみたい。

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2012/08/21 (Tue) 21世紀の世界文学30冊を読む(都甲幸治)

名作は世界中で日々生まれている!文学の「いま」の鼓動を伝える最速・最強の世界文学ガイド。ポール・オースター、トマス・ピンチョンからミランダ・ジュライ、ジュノ・ディアス、そしてアフリカ、中国、ラテンアメリカ、旧ユーゴスラビアの作家まで。未訳の同時代小説をいち早く読み、紹介してきた著者による、明快にして刺激的な世界文学ガイド決定版。ジュノ・ディアスの未邦訳短篇「プラの信条」を特別収録。



もう少し面白いかと思ったのだが、私にはイマイチだった。書評なのかガイドなのかがはっきりしない。あらすじ等の紹介や引用は最小限にとどめて、いっそガイドに徹してくれた方が良かったな。この本を読んでいると、そんな能書きよりも実際に読んだほうが早いぜって思っちゃうんだよな。こういう反応も実は正しいのかもしれないけど。

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2012/06/29 (Fri) おかえり、Mr.バットマン(佐川光晴)

結婚生活20年にして「離婚」という一大決心をした彼の家へ突如ホームステイすることになったのは、世界的ベストセラー作家の娘だった!?家族?お金?それとも…彼女と愛の逃避行!?山名順一(48歳)、翻訳家兼主夫、決断の時。



佐川光晴のことは全然知らなかったのだが、主人公が翻訳家という一点だけで図書館で借りた。ただ主人公が翻訳家というだけで、物語にはあまり関係がないんだろうなと思っていたら大間違いだった。ちゃんと翻訳家の生活のことが書かれているし、翻訳とは何かみたいなことも語られていて、実に興味深かった。
主人公は、コウモリが鳥でも獣でもなく中途半端な立場にあるように、英語と日本語の狭間を楽しむことを「コウモリの愉楽」と呼んでいる。そんなコウモリ男である自分を「バットマン」と称しているのだ。
物語自体もなかなか面白い展開で、ぐいぐい読み進めていたんだけど、ラストが尻すぼみになってしまったのがちょっと残念だった。

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